インドと言えば、数学に強いことが世界中で知られています。
たとえば、子供のころに憶える掛け算が、9の段で終わりではなく、20の段まで続くなど、その独特の数学術が日本でも数多く書籍として紹介されているほどです。
世界中のIT企業がインド人エンジニアを求める理由は、この優れた教育によって優秀な人材が数多く生まれている事にあるといえるでしょう。
そもそも、インドの人々が数学教育に力を入れ始めた理由や背景とは何だったのでしょうか?
それはインドで古来より長く続いていたカースト制の影響が強いと言われています。
カースト制とは、紀元前にインドを征服したアーリア人が先住民を差別する為に作った階級制度です。
1950年に廃止されるも表面的でしかなく、上からバラモン(司祭)、クシャトリア(王侯・戦士)、バイシャ(商人)、シュードラ(奴隷)、さらにその下に不可触民と身分を定めたこの制度は、今も濃くその影響をインドの人々に及ぼしています。
結婚や就職といった面で、今でもカースト制の影響によって自由な選択が出来ない現実が多く存在するのです。
そのような中でIT業界はカーストに関係なく仕事に就ける数少ない業界でした。
懸命に勉強すれば下位カーストでも成功出来る。
これは苦しむ人々の大きな救いになったのです。
ますます大きな可能性を秘めるIT業界。それを支えるのは幸せになりたいと願う人々の希望。そして未来をつかむ為の努力なのかもしれません。