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エアロビック運動の理論

★ エアロビック運動とは・・・

 全身の骨格筋が無理なくたくさん参加する運動をエアロビック運動(エアロビック・エクササイズ)と言います。この運動は長時間にわたって酸素を体内に取り入れながら行なうことから有酸素運動とも言われています。
 エアロビック運動は、筋肉のコンディショニングや怪我や障害の予防を目的としたストレッチ運動、強くしっかりした筋肉を作ることを目的とした局所筋運動と並ぶ健康づくりにとって最も大切な運動の一つです。

★ エアロビック運動の効果

◎ 呼吸循環器系を刺激して全身持久力を維持または向上させ、生活習慣病を予防する。
◎ 摂取エネルギー量と消費エネルギー量のバランスを取り、肥満を予防する。
◎ 回復力の早い身体を作る。
◎ 骨を丈夫にする。
◎ ストレスに対する抵抗力を高める。
◎ その他

★ エアロビック・運動の種目と条件

《条 件》

 体重移動によりたくさんの筋肉が動員される運動であること
 運動の強度の調節が比較的簡単に行なえる運動であること
 簡単な左右対象の動き、またはそれに近い動きで長時間くり返すことの可能な運動であること

 以上がエアロビック運動の基本的な条件です。つまり、よくジョギングやエアロビックダンスなどはエアロビック運動の代表的な種目のように言われていますが、若者や高体力者にはエアロビック運動であっても、高齢者や低体力者にとっては強すぎる運動である場合が多々見られるので注意が必要です。運動はあくまでも個々の能力に適した内容で実践されてこそ効果を得ることができます。
 人は時として、健康づくりの原点を忘れて、一時的な充実感や楽しさだけを追求してしまい強すぎる運動になってしまう場合があります。対象者の刺激を求めたニーズに答えるがあまり、健康づくりの本質から逸脱した指導を行っている団体や指導者がいることも事実です。ストレス発散などのことと考え合わせるとそのすべてを否定することは出来ませんが、このことは一時的満足とリスクだけでなく、将来的なリスクと考え合わせて理解しておく必要があります。

《種 目》

 歩行
 速歩
 ジョギング
 階段のぼり
 水泳
 サイクリング
 エアロビック・ダンス
 ボート
 クロスカントリー・スキー
 スケート
 さまざまな持久的なゲーム
 その他

★ エアロビック運動の基本的な強度・時間・頻度

《強 度》

運動の強さについては目標心拍数と主観的運動強度を中心に考えるのが主流です。

・目標心拍数の設定

 運動の強度に対応して心拍数が上昇します。より安全にエアロビック運動を進めていくには、物理的要素であるスピードやピッチよりも生理的要素である心拍数で強度をコントロールしていくことが大切であるといわれています。

強度の目安 : 心拍数から見た心臓の余裕力の40〜70%程度
目標心拍数 = (最高心拍数 − 安静時心拍数) × 率+ 安静時心拍数

最高心拍数 : 220−年齢
安静時心拍数 : 安静状態で測った心拍数
率 : 0.4 〜 0.7

* ただし、降圧剤等を服用している場合は心拍数が上がらないので注意が必要

・主観的運動(RPE:Rating of Percieved Exertion) の設定

RPE
 
Very,very light(非常に楽である)
 
Very light(かなり楽である)
10  
11 Fairly light(楽である)
12  
13 Somewhat hard(ややきつい)
14  
15 Hard(きつい)
16  
17 Very hard(かなりきつい)
18  
19 Very,very hard(非常にきつい)
労作の強さを示すスケール

 のスケールをご覧ください。これはBorgが作ったスケールで、運動時の主観的負担度を6〜19までの整数で表わしています。持久的な運動の場合にはこの整数を10倍したものが心拍数に近い数字になるように工夫されています。エアロビク運動の強度の基本的な目安はRPEの11、12、13あたり(勿論個人差はあります)です。
 RPEはあくまでも個人の感覚ですから、Borgのものと比べてスケールそのものが大きくかけ離れている人も数多くいます。また、運動に慣れていない人などは、運動毎ごとに大きく食い違ったりもします。しかし、日頃からこのRPEのスケールを頭に入れて運動したり、対象者にRPE表での運動強度の確認を習慣づけていくと、心拍数や酸素摂取量との相関はかなり高いものとなります。

 運動の強さについてはもう一点血圧管理に気をつけてください。

・血圧に対するケア

 脳血管疾患にしても心疾患にしてもその過程は異なりますが、直接の引き金は血圧の上昇です。運動の強度に対応して血圧も上昇します。エアロビック運動の場合は一般的には拡張期血圧が200mmHgを超えない範囲で行うのが安全とされています。
 兵庫県立健康センター(2004年3月廃止)の運動負荷試験の結果では、目標心拍数以下またRPEが12以下であっても拡張期血圧が200mmHgを超える方が数多くみられました。より安全に運動を進めるには運動中の血圧を正しく計ることが最も有効な手段ですが、現在のところ運動中の血圧を正しく測定する方法はありません。そこで、中高年になれば、運動負荷試験を受診されて、虚血性の心疾患などの早期発見とともに、運動中の血圧の推移を知っておくことが望ましいといえます。ただ、私ども兵庫県内において手軽に運動負荷試験を受診できる施設が数少ないのは予防を考える上で非常に残念です。ただ、安静時の血圧測定、運動前後の血圧測定などの習慣化により間接的に体調を知る大きな手立てになります。

 からだの健康部では、目標心拍数、主観的運動強度による運動強度の把握、調整にあわせて血圧の変化に対するケアをお勧めします。

《時 間》

 運動時間は強度との関係(運動量)が大切ですが、一般的には長く実施すればするほど運動効果は高くなります。しかし、反面怪我や障害の発生率は高くなります。

 時間の目安 : 最低5分間以上、出来れば12分〜30分程度、長くても60分程度。

《頻 度》

 2週間に1回では効果はほとんどありません。反対に毎日運動するならば同じ運動を毎日するのではなく、運動種目や内容(強度や時間)に変化を持たせることが大切です。

 頻度の目安 : 最低週1回、出来れば週2〜3回程度、運動に慣れてくれば週4〜5回程度。

(亀澤)



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