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運動時高血圧

 なぜ高血圧が健康にとって重大なリスクファクター(危険因子)だと言われているのかは「血圧」の項で説明しました。
 一般的には血圧の高い、低いは安静時の血圧の推移でしか見ない場合がほとんどです。ところが、特に動脈硬化年齢と呼ばれる時期からは、安静状態ではまったく問題がなくとも、運動時に急激な血圧の上昇が見られる場合が数多くみられます。
 ここでは運動時の高血圧について考えてみましょう。


 動脈硬化年齢とは、おおむね男性45歳、女性55歳以上ことをいいます日本循環器学会の虚血性心疾患の一次予防ガイドラインの虚血性心疾患、心臓突然死の危険因子においてもこの年齢を第1番目の危険因子としています。

 虚血性心疾患、心臓突然死の危険因子
 (日本循環器学会 虚血性心疾患の一次予防ガイドライン)

 年齢:男性 45歳、女性 55歳以上
 家族歴
 高血圧:安静時140/90 mmHg 以上
 高脂血症
 糖尿病
 喫煙
 肥満:BMI 25以上の内臓脂肪蓄積型肥満
 精神的、身体的ストレス

 血圧の話に戻りますが、この動脈硬化年齢を境に、安静時の血圧にはまったく問題はなくても、運動を行うと急激に血圧の上昇がみられるケースが多々見られます。下図は49歳男性(赤-一般的に言われる大変良好な運動習慣があり、体力レベルも非常に高い)と39歳男性(青-歩行と週1回程度スポーツを行う程度の運動習慣があり、体力レベルも普通程度)の運動負荷試験時の血圧の変動を表したものです。単純に横軸の3分ごとに4段階運動が強くなっていき12分で運動を終了したものと理解してください。


図 運動時高血圧(例)

 どちらの方も、安静時血圧は正常範囲内で、むしろ低目でした。段階的に運動が強くなり、4段階目(9分から12分の間で一般的な方にとってはかなり強い運動)で39歳の方は、心電図、血圧などに問題はなかったのですが、ご本人の「もう続けられない」との意思により中止しました。49歳の方は、ご本人は「まだまだいける」とのことでしたが、収縮期血圧が200mmHgを超えたので医師の判断により中止になりました。どちらの方も心電図に異常は見られませんでした。

 ここで注目したいのは、もし医師が中止しなければ、49歳の方は自覚症状がなく、より強い運動強度で運動が可能であったということです。この方のフルマラソン時の血圧の変動を考えると、少々恐ろしくさえなります。


 動脈硬化年齢といわれる男性45歳、女性55歳前後になれば、自覚症状がなくても運動負荷試験を受診して虚血性の心疾患の早期発見に合わせて、運動時の血圧の変動を知り、収縮時血圧が200mmHgを超えない運動強度を意識するとともに、必要に応じて運動種目や内容を変えていくことも大切です。

(亀澤)



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