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体 力

 我々はよく「体力がある」とか、「体力がない」とかいいます。また、自分の体力を知ることを目的として体力テストを実施したりもしています。ところがこの「体力」という言葉を正しく理解しているかというと疑問です。特に健康づくりにおいては自らの「体力」をより正しく理解しようとすることが大切です。


 体力の分類方法には数多くの意見がありますが、現在よく用いられているものは大きく二通りあります。

 一つは池上らの大きく行動体力と防衛体力に分類されたものです。
 もう一方は猪飼らの下図です。下図の分類方法の特徴は最初に大きく身体的要素と精神的要素に分けた上で、それぞれに対して行動体力と防衛体力に分類されていることです。

 どちらの分類方法の方が優れているかは学者にまかせるとして、健康づくり運動の立場から特に考えたいことは、体力とは決して行動体力と呼ばれる身体を動かす能力だけではないということです。よく体力測定を実施して体力があるとかないとか評価しますが、この体力測定は上図の分類で言えば身体的要素の行動体力の身体的機能だけを見たテストにしかすぎません。体力全体の中のほんの一部にしかすぎません。つまりこの一般的な体力テストに優れていたからといって何も体力全体に優れているとは限りません。

 ところが、実際に私達が行なう健康づくりの運動のほとんどは行動体力に刺激を与えることを目的とした運動です。その理由は、行動体力に対する適度な刺激は防衛体力も向上させ、体力全体を高くするからです。しかし、行動体力に強い刺激を与えすぎると、防衛体力は低下します。一流選手ほど風邪や病気になりやすくなったり、精神的なストレスに負けて若くして引退を余儀なくされるといったことです。行動体力の絶対値を追い求めることが大切な競技スポーツにとってはある程度はいたしかたのないことといえます。

 健康づくり運動においては、他人よりも力があるとか、速く走れるとかが大切ではなく、風邪を引きにくいとか、病気になりにくいとか言った防衛体力の向上が大切であることはいうまでもありません。あくまでも、防衛体力の向上を意識した運動内容でなければなりません。身体的要素と精神的要素、行動体力と防衛体力のバランスを考えて取り組むことが大切です。


 「最大、最強、最速」を目指した理論ではなく「最適」の概念が私達の健康を支えます。

(亀澤)



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