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一万歩

 健康づくり運動実践の際に、よく「1日に一万歩を目標に歩きましょう」と言われます。実際1万歩を目標に運動を進めている人もたくさんおられます。では、なぜ1万歩歩くことが大切なのでしょうか。また、5,000歩や8,000歩では歩行運動として足りないのでしょうか?

 実は、一万歩は科学に理想と現実を加味して考えられた大変奥の深い数字です。


 健康づくり運動に際して最も基本的なことは消費エネルギー量(output)と摂取エネルギー量(input)のバランスです。余剰エネルギーと栄養素の偏りを招くinput。省力化していく日常生活に適応してますます身体を動かさなくなり減り続けるoutput。単純にinputを減らせば問題は解決するのですが、現在の食事事情から考えれば不可能に近いと思われます。この現在のinputとoutputのアンバランスから予想される一般の人の1日の余剰エネルギー量は約200kcal〜300kcalです。これが、健康づくり運動による消費エネルギー量(output)の目安になります。

図 歩行速度とエネルギー消費量


 上図をご覧下さい。図は歩行速度と1kcal当たりの歩数との関係を表したものです。

 たとえば、一般人の最も能率的な歩行速度は約70m/分です。この時のエネルギー消費量はおよそ28歩当たり1kcalです。このことから健康づくり運動による1日の消費エネルギー量の目安である約300kcalを70m/分の歩行運動で消費するには

  28(歩)×300(kcal)/1(kcal) = 8,400(歩)・・・・8,400歩歩けばよいことになります。

 しかし日常生活の中で歩行速度を一定にすることは不可能です。また、歩行速度の変化のすべてを求めることも困難です。その結果、正確に求めようとすればするほど反対に不正確な値になってしまいます。

 そこで1日をトータルとして考えることが大切になります。歩数法は日常生活活動におけるほんのちょっとした1歩も、息を切らして階段を走って登った1歩も同じ1歩としてとらえるため一見不正確に思われます。しかし、多くの実験や統計処理を繰り返すことによって求められた1日のトータルとしての値は、出来るだけ正確に歩行速度を計って求める上記の方法よりもはるかに正確です。

 正確に求めようとすればするほど不正確になってしまう方法と、一見不正確に思えるけれど結果としては正確な歩数法。どちらの方が健康づくりの運動としてふさわしいかは言うまでもありません。

 ただ、もう少し正確に考えれば200kcal〜300kcalに対して1万歩は少々多すぎるように思われます。一万歩はあくまでも努力目標であり、実際の到達目標は8,500歩程度で十分でしょう。


 さらにより正確に消費エネルギーを求めるとしても、歩行運動であれば、ブラブラ歩いて30歩1kcal。サッサと歩いて25歩1kcalあたりで計算するのが比較的正確でしょう。

(亀澤)



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