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ヒトが倒れている場合、 脊髄損傷後の完全四肢マヒ患者に対しては、生涯にわたる身体介助と生活保障が必要となります。学校管理下の事故では、プールでの飛び込みによる頸髄損傷事故に1億円の損害賠償(1992年横浜地裁)、ラグビーによる頸髄損傷事故に7900万円の損害賠償(1992年福岡高裁)の支払いが学校側に命じられています。 発生頻度が少ないとはいえ、健康スポーツ関連施設および学校の安全管理責任は非常に大きなものです。頸髄損傷発生時の頸椎固定法およびバックボードによる全脊椎固定法の訓練を行い、日頃から頸髄損傷の危機意識を持って指導に当たることが健康づくり指導者、体育・スポーツ指導者にとって必要です。
日本においては、2000年の初め頃から外傷への初期対応の標準化の動きが高まった。救急医、救急救命士、救急隊員の統一教育カリキュラムとして日本救急医学会が中心となって作成した外傷研修プログラム(PTEC:Prehospital Trauma Evaluation and Care)が急速に広まっています。 PTECの1つの柱が、脊髄損傷を予防するためのバックボードを使用した全脊椎固定法とネックカラーを用いた頸椎固定法です。すべての外傷患者に対して頸髄損傷の可能性を疑い、バックボードに固定して搬送することにより、搬送時の2次的損傷による悪化を防止することです。 最近、日本においてもバックボードが救急車に標準装備されるようになり、すべての外傷患者の搬送時に全脊椎固定法を行えば、脊髄損傷防止に大きな力を発揮するものと期待されています。
特にプールでの事故においては負傷者が意識を失っている場合には、飛込みになどによる一時的な損傷は勿論、陸上に引き上げる際に頭部を強く後屈させることによる損傷を未然に防ぐ必要があります。 プールでの溺水者は、飛び込みによる頭部強打による意識消失者と、心筋梗塞あるいは心臓突然死による心停止患者の2つが想定されます。前者は、溺れによる喉頭痙攣による窒息状態(乾性溺水)であり、心拍動は維持されている場合が多く。後者の場合は、できるだけ早く心肺蘇生を行うことが大切です。しかし、水中での心肺蘇生の実施は技術的にも非常に難しく、勿論ケース・バイ・ケースですが基本的にはバックボードによりできるだけ早く、安全に陸上に引き上げることを優先すべきと考えています。 プールサイドに引き上げた後に、循環のサインを確認し、心肺停止の場合には心肺蘇生法を開始します。全脊椎固定された負傷者に対しての人工呼吸は、下顎挙上法による気道確保を行う必要があります。したがって、プール監視者は、脊椎損傷予防に対する全脊椎固定法の訓練にくわえて、ポケットマスクあるいはバックバルブマスクによる人工呼吸法の習得が求められます。
第1救助者は、真っ先にプールへ飛び込み、負傷者の救助にあたりながら他の救助者および協力者を指揮します。第2救助者は、第1救助者の指示に従い、負傷者の救助にあたります。 負傷者が意識を失っている場合には、脊髄損傷の可能性があるものとして取り扱うことが原則です。第1救助者が発見、救助のためプールに飛び込み、負傷者を水上にて全脊椎固定をおこないます。さらに、プールサイドに引き上げた後、ネックカラー、スピードブロック装着までに要する制限時間は5分以内とされていますが、訓練すれば2分30秒で全処置を終了することが可能です。
事故発生時の対応は施設は機器、機材を整え、専門スタッフは、基本は基本として技術を習得しておくことが大切です。しかし、実際の事故においては基本どおりいかない場合がほとんどです。大量の出血をともなっていたり、他に助けを求める人がいなかったり、また、2次災害への対策を優先させなければならない事態であったりします。技術や器具ばかりにとらわれすぎてしまうと応用が利かなくなります。なぜ、AEDなのか、なぜ心肺蘇生法なのか、なぜ頸椎を固定する必要があるのかを理解しておくことが、不測の事態において的確な判断を生むことにつながります。 また、一般的には重大な事故に数多く遭遇することはありません。ゆえに、常日頃から、イメージトレーニングを積むことが大切です。不測の事態に遭遇した際、的確な判断を下すためには理論が必要で、経験不足を補うのはイメージトレーニングです。 |
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