消費エネルギー量を増しバランスをとる
身体活動量と死亡率などとの関連をみた疫学的研究の結果から週当たり2,000kcal(1日当たり約300kcal)以上のエネルギー消費に相当する身体活動が推奨されています。平成9年度国民栄養調査では日本人の歩数の現状では、1日平均で男性8,202歩、女性7,282歩です。そこでわが国の行政政策として「健康日本21」では、当面10年間の目標として、男女とも歩数の1,000歩増加を目指し、1日平均歩数を男性9,200歩、女性8,300歩程度を目標としています。1,000歩は約10分の歩行で得られる歩数で、距離としては600から700mに相当します。これを受けて兵庫県では、この10分、600から700mをより効果的かつ安全に歩くために脊椎ストレッチウォーキングでの1,000歩増を推奨しています。
以上が国民の健康づくりを考える「健康日本21」や、県民の健康づくりを考える「健康ひょうご21県民運動」の基本的な考え方ですが「歩く」ということは単にエネルギー消費という面だけでは考えられない側面を意識しておく必要があると思います。
人類の危機
ヒトの最大の特徴の、直立での2足歩行です。人類の紀元は約1,200〜2,500万年前で、現代人が出現して、牧畜や農耕が始ってからせいぜい1万年が経過したにしか過ぎません。つまりヒトの進化は2足歩行を得て、歩行量を増加させていくことがすべてであったといっても言い過ぎではないと思います。
人類はこの進化のすべてであるといっても言い過ぎでない歩行運動を僅か 100年足らずの間に忘れつつあります。進化に要した時間の100万倍以上の速さです。地球上の生物がかって経験したことのないこの速さは運動とか健康とかいう以前の問題で、人類の進化そのものを考える上での危機と考えてもよいと考えます。そして、この危機をそれほどさしせまった問題としてとらえていない人があまりにも多いことがさらに大問題です。
歩かないが、歩けないになってからでは手遅れです。
個人、家族、次世代、国・・・の危機
健康長寿を全うするには、寝たきり、閉じこもり、痴呆などを予防することが大切です。そして、その柱となるのは、移動できることです。先にも書きましたが、ヒトの進化のすべてといっても過言ではない高速、かつ効率よく身体を移動させるとともに脳の急速な発達を促すことを可能にしたヒトの移動手段である2足歩行の衰えを防ぐこと、またその低下を最小限に押さえることこそ我々に幸せをもたらす大切な要素です。
正しい歩き方を意識することは個人に幸せをもたらし、家族に幸せをもたらし、次世代に幸せをもたらし、国に幸せをもたらし・・・。世界一の長寿国であるわが国が幸せになることは、高齢化が進む世界の多くの国々に幸せをもたらすのです。
脊椎ストレッチウォーキングは、中高齢者だけでなく、今の若者は勿論、幼児、小学生、中学生期などより早い時期から正しい歩き方を意識してほしいという思いをも詰め込んだ健康づくり理論です。
今までの運動理論を捨てる
ですからまずは今までの体育とか運動とかいった理論・・・たとえば「何分以上歩かなければ効果がない」とか「心拍数をどれくらいまで上げて歩く」などはいったんすべて捨てください。1歩でも10歩でもかまいません。1,000歩という目標はあげていますが、まずはただ単純にお一人お一人ご自分の立つこと、歩くことを見つめなおしていただきたいのです。